SD-WAN (Software Defined - Wide Area Network)
■WANとは?
そもそもWANとは、Wide Area Networkのことで、対義語はLAN(Local Area Network)。社内や室内など、閉域のネットワークがLANで、それに対し、インターネットを始め誰でもアクセスできる外部ネットワークがWAN。モデムがLANとWANをつないでいる。
■SD-Xとは?
SD はSoftware Definedの略。つまり、ソフトウェアで制御すること。Xの部分には、"Network" が入ったり、"Datacenter" が入ったりして、様々な概念に対して適用できる言葉。
今までハードウェアそのものを操作して管理していたサーバやストレージ、ネットワークだったが、クラウド全盛時代となり、大規模な設備展開が行われる中で、自動化による人為ミス回避及び作業効率化や、ユーザニーズの多様化に伴う迅速な設備の拡大収縮の要求を満たすことが求められたため、発達した技術。
インフラの世界で言えば、下記の分類が非常にわかりやすい。Orchestorationは、OpenstackやCloudstackなどがその代表で、Compute/Storage/Networkなどの各リソース(デバイス)を管理する機構。各レイヤ間はAPIを経由して命令が制御されている。欠点として、集中管理を行うため、制御部分に問題が発生した際の被害が甚大となりがちである。
よくわかるIT新発見 第1回 「Software Defined xx」の潮流を読み解く!|伊藤忠テクノソリューションズ
■SD-WANとは?
WANをSoftwareで管理することにより、扱う情報の種類によって経由させるWANを変えたり、需要の変化に応じてWANの帯域を増減したりさせることができる、新たなサービスのこと。例えば重要な業務アプリケーションへのアクセスはプライベートWANを通し、各拠点から社内ファイルサーバーやクラウドサービス等へのアクセスはインターネットを通す、といったネットワークの切り替えが柔軟にできる。この仕組みを導入することにより、ユーザーが属する組織では、自社におけるプライベートWANサービスの利用状況と、契約帯域幅を確認しながら、適切なコストで運用できることになる。トラフィック分散の自動化、最適化を実現すると同時に、 回線費用のコスト抑制も可能とする。システム面でもコスト面でも企業に恩恵をもたらす。
■所感
より早い段階から柔軟なスケーリングが提供されてきたコンピュート(CPU/Memory) やストレージの世界に比べ、ネットワークについても一括管理とスケーリングの自由度が一気に上がった感がある。一方で、ITと関係の薄い事業会社のネットワーク担当者で、ここまでネットワークの利用上の不便や管理コストに懸念を持っている企業は今日本に存在しているのか、非常に気になるところである。
コンピュートやストレージは、エンドユーザからのアクセスを多く受けるシステムを持つ企業であれば広くニーズがあるが、ネットワークのニーズは主に自社社員同士のやり取りに利用されると思われるため、他拠点展開しているグローバル企業くらいしかニーズがないのではないか(日本でニーズが有る企業があるか?)と、素朴な疑問がわいた。