Adobeのビジネスモデル転換

Adobeといえば、一般のビジネスマンから見ればpdf を扱う企業であり、クリエイターから見れば photoshopillustrator の企業だというのが一般的な理解だと思う。加えて、photoshopillustrator は高額なインストール型パッケージソフトだという認識だった。それが、ここ10年で、大規模な2つの方針転換を果たしており、売上も株価も右肩上がりとなっている。

 

■現在のAdobe社の主戦力商品

 

■パッケージモデルからクラウドサブスクリプションモデルへ

2012年から、Creative Suite(フォトショやイラレ)のオンライン化、つまりCreative Cloudのサービスを開始し、2014年5月にはクラウドへの100%の移行を完了したという。このクラウド化には、ユーザ側・Adobe側双方にメリットが有るという。

ユーザ側としては、一度に高額の支払い(フォトショやイラレのパッケージは2000USDを超えるそう)をすることなく、必要な機能を選んで月々安価な値段(アプリひとつなら21USD/month, すべてのアプリでも 53USD/month)で利用可能になる。そのソフトは常に最新版が提供され、バグのアップデートも常に提供され続ける。

一方Adobe側としては、継続的安定的な収入が期待できる経済面や、機能追加やバグ修正を小さく頻繁に提供できるオペレーション上の効率性などが期待できる。

2012年の販売開始から右肩上がりに収益を伸ばし、昨年時点でも対前年比で33%の売上増加を達成している。同様にサブスクリプションモデルに移行したMicrosoft の Office 365などからも、昨今のソフトウェア販売モデルの潮流になっていることがわかる。

 

クラウドマーケティング分野への進出

Adobeは2009年にOmniture社を買収した。はOmniture社はオンラインマーケティング分析を専門とする会社で、オンライン広告のインテグレーションや解析を行うツールを提供する会社。この買収により、今までAdobeが主戦場としていたデジタル・クリエイティブ製品(フォトショ・イラレ)で作成した広告を一般公開したあとの効果測定まで、一貫してAdobe製品で提供できるようになった。現在このOmniture社の製品は、Adobe Analytics として、Adobe

 

 

■所感

自身が一番驚いたのは、クラウドマーケティング分野への進出だった。特に、自身の提供する価値を軸として、顧客のデジタルマーケ体験をAdobe製品のみでPDCAが回る形になるよう、適した企業を買収していること、そして、買収した企業の強みを活かしつつ、ブランドデザインとしてきちんとAdobeに統合するブランディングが、非常にうまいと思った。自社も様々な海外企業を買収しているが、外部からみたブランディング面の統合も、内部的なオペレーションの統合も、うまく行っていない部分が少なからずある。成功の秘訣が非常に気になる。